資料紹介
土の記憶
【勝井三雄 著(構成・企画)】
『展示学 第37号』(日本展示学会)2005.5.1
 幡野由夏(株式会社文化総合研究所)
 

本書は一般的な書籍とはまったく異なる。本という平面の形でありながら展示的である。あたかも空間を移動するかのようにページの間を行ったり来たり、ページの中をキョロキョロさせられ、時には科学的に、時には詩的に、見て感じることができる。地球上にあるさまざまな土の表情の多様さには、地球の歴史の多様さが映されていて、そこには人類という生き物の足跡も映っている。美しい土の写真と勝井氏のディレクションによるグラフィックが融合し、そんなことを感じさせてくれる。
内容はビッグバンからの150億年間の地球史をつづったもので、環境、社会、人類の3つの切り口によるトピックのテキストと図版が科学的なデータとして示されている。
地球史規模では、ほんの一瞬にすぎない時間の中に人類の歴史の大半が凝縮しているという見地にたって、本書を構成する時間軸は十の倍数比率を採用し、地球史と人間史双方からのアプローチを試みたという。年表につきものの時間軸は、通常どの年代も等距離に示されるが、ここでは10億年から1億年と1000年から100年が同等スケールとなる。
本書は、特種製紙総合技術研究所Pamで開催された「原弘賞のクリエイターたち‐2」展のために制作・展示され、他に2ケ所のギャラリーでも展覧会が開かれた。本書の各ページとそれを蛇腹でつなぎ合わされて本の体裁になったものが展示された。さらに、本書の各ページが深いオーバーラップによって変化していく床面への投影映像が設置され、それもまた印象的であった。2004年9月10日から富山県立近代美術館「勝井三雄デザイン展」でも展示される予定なので、本展を見逃した方はそちらへ行かれることをお薦めする。

本書の見開きページ

<開催データ>
 特種製紙総合技術研究所Pam/2002年10月26日〜2003年3月29日
 MDSG/2003年5月9日〜5月31日
 九州産業大学/2003年9月6日〜10月26日

 
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