最近の展示
浜名湖花博―パシフィック・フローラ2004

『展示学 第37号』(日本展示学会)2004.5.1
 幡野由夏(株式会社文化総合研究所)
 

 
  「庭文化創造館」歌舞伎の世界に遊ぶ桜の花舞台   「まちの玉手箱」裾野市のミニチュアガーデン
『ユートピア富士裾野‐五竜の滝』
 

本博覧会は、1990 年の大阪、2000 年の兵庫・淡路に次いで、国内で3 回目の国際園芸博である。テーマは「花・緑・水─新たな暮らしの創造」で、この3つのキーワードに沿ったエリア構成となっている。
入場ゲートを入ってすぐの「花の街」はフェスティバルのにぎわいで来場者を迎える。山本寛斎プロデュースの円筒型立体庭園や、水鏡に映像を映すシアターで浜名湖の魅力を紹介する「浜名湖館フルレ」、園芸の最新技術の紹介をする温室「花みどり未来館」、ハーブの館「花夢香夢」が並ぶ。
「花の街」から運河をわたると、「水の園」エリアとなる。細長い会場の中央をゆったりと流れる運河に面し、水辺の劇場や広場、展示館が連なる。「庭文化創造館」は、会期中「花見の庭」「料理の庭」「風水の庭」など6つのテーマを、各界のクリエーターと花のアーティストのコラボレーションによりユニークな庭づくりを展開し、それに連動したワークショップや試飲・試食を随時行っている。「国際花の交流館」は国内外約300 の出展者による花と緑のアート作品が展示される。
会場の一番奥となる「緑の里」には、5000 品種、50 万株の植物が咲き競う「百華園」、22 カ国と1 国際機関の庭園が愉しめる「国際庭園」、印象派の画家クロード・モネの館と睡蓮の庭を再現した「花の美術館」、昭和天皇の植物標本を展示する「昭和天皇自然館」、江戸時代に大きな発展を遂げた園芸文化を貴重な盆栽と歴史展示で紹介する「園芸文化館」などの見所が並ぶ。
また、850 メートルの運河を遊覧する「いろどりクルーズ」による水上からの眺め、高さ50 メートルの「きらめきタワー」からの展望、各所に設けられた小さな高台など、会場全体の草木・花々と浜名湖を様々な視点から見ることができるのも特徴と言える。
そして、国際園芸博覧会であっても有名人のイベントや展示だけでない、地域の色や顔が見えるところに好感が持てた。それは、「緑の里」の長い主園路の左右に並ぶ「まちの玉手箱」名付けられた、県内市町村がそれぞれの地域の風土や町並みを箱庭で展開した展示や、市内の芸術大学生がデザインしたベンチの導入、市内学生・市民ボランティアの参加、生産農家のメンテナンスの姿などである。
会期が春から秋という異なる季節にまたがるという事、テーマが植物(特に園芸)という生ものである事から、数回の展示替えや植え替え、日々のメンテナンスが必要となるが、「また来なくてはいけない」と来場者に思わせ、リピート率も上がるのではないかとも思われる。
 

「百華園」花帯の庭のカラフルなサボテン

名称――――――――――――しずおか国際園芸博覧会「パシフィックフローラ2004」
開催期間――――――――――2004(平成16)年4 月8 日〜10 月11 日
開催地―――――――――――浜名湖ガーデンパーク(静岡県浜松市村櫛町)
主催――――――――――――(財)静岡国際園芸博覧会協会
面積――――約56 ヘクタール


 
記事集リストへ