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あいかわらず、景気は回復の様子を見せてはこない。21世紀を明るく迎えたいと思う一般市民の願いとはうらはらに、ますます厳しい状況を迎えているというのが現実だろう。そのような中にあって、最近、「経済」というものの捉え方に、今までとは異なる見方を感じるようになってきた。そのキーワードとなるのが、「文化」である。
これまでも、文化経済学会やメセナ協議会といったさまざまな分野で「経済」と「文化」の関係については論じられ、実証されていることであろう。それらのすべてについては知る由もないが、ここ数年見え隠れする「経済と文化の関係」は、少し違う方向性のもののように感じるのである。
文化庁が開催する「近代の文化遺産の保存・活用に関する調査研究協力者会議」では、近代の文化遺産とは“科学技術の発達と工業化の進展など、人々の諸活動の結果生み出された種々の製品や資料等”を意味し、“我が国の歴史と文化への理解を深める上で重要な遺産となるべきものが多数含まれている”ものであると位置づけられている。これが意味することは、企業活動の歴史が日本の歴史や文化を見ていく中で、重要な意味を持つということであろう。企業が発展するということは、企業が生み出した文化が着実に根付いているということであり、言葉をかえれば、企業は、世に送り出してきた製品や技術、あらゆる企業活動を通して、企業自らが「文化を生み出している」ということになるのではないだろうか。さまざまな面で価値観の大きな転換を求められている現在、企業は「自ら生み出している文化」の重要性について、再認識すべきではないだろうか。
企業博物館(コーポレート・ミュージアム)は、「企業の文化」を象徴する施設であり、企業と顧客をつなぐコミュニケーションの場であると同時に、企業自身の文化を見つめ直す場ともなっている。本書では、海外の企業博物館14ケ国80館の概要がまとめられている。取り上げられている業種は、自動車メーカー、食品メーカー、電力会社、銀行、デパートなど多岐に渡り、設立の経緯や沿革史、展示の概要などが詳しく書かれており、産業・経済・文化の歴史を振り返るという意味でも、幅広い分野を横断的に見渡すことができる本書は、貴重な資料となり得るものである。
A4判 184頁 (株)トータルメディア開発研究所 2000 ¥12,000(税込)
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