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読んでから行くか、行ってから読むか。
1999年8月、東京臨海副都心に女性のためのテーマパーク型ショッピングモール『ヴィーナスフォート』が誕生した。中世ヨーロッパの街並みを再現した総床面積約44,000Fのクローズドな空間に、アパレル・飲食・雑貨・コスメなど約160の店舗が入居している。
このヴィーナスフォートの発想から企画推進、そしてオープンにいたるまでの経緯について、興味深くまとめられているのが本書である。コアの顧客層の絞り込みにはじまり、その層に購買意欲を持たせるためのキーワードを『感動』として、それを生み出す仕組みを、空間のデザイン・演出、店舗の選定、サービスにいたるまで、きめ細やかな配慮をしつつ全体をプロデュースしていく過程を、一気に読み進ませてしまう説得力は、さすが大前研一である。
長引く不況への打開策のひとつとして、『感動』というキーワードを現出させ、実現化させてしまった著者らの発想とパワーには、学ぶべき点は大変多い。そして、この『感動』を生む最大の要因は、空間の展示デザイン・演出にあることは間違いない。さまざまな意味で発想の転換を迫られている現在は、「展示学」にかかわる私たち自身が、展示やデザイン、空間演出の持つ力の意味を考え、どのような方向に使っていくのかを熟考するべき時なのかもしれない。
冒頭の課題にもどろう。絞り込まれた対象である20〜30代前半の女性たちには、まずは行ってみることをおすすめする。自分の実感をもとに、経営コンサルタントたちが、本当に自分たちの心理の本質をついているのかどうか、という視点で読んでみるとおもしろいだろう。また、ターゲットから全く外された中高年の男性諸氏には、是非ともご一読いただいた上で、足を向けられることをおすすめする。本書の内容を納得や批判とともにリフレクションするという目的があれば、ヴィーナスフォートでのひとときを有意義なものとすることができると思う。
それにしても「感動経営学」とは、うまい名前をつけたものである。私は、何にも増してこのネーミングに『感動』している。
B6変形判 238頁 小学館 1999 1,500円(税別)
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